東京大学先端科学技術研究センター 気候変動科学分野

中村・竹川 研究室


地球惑星科学専攻へ進学を希望する皆さんへ

本研究分野は,(旧)大気海洋科学講座(基幹講座)の中村研究室と先端科学技術研究センター(旧)地球大気環境科学分野の竹川研究室とが合併して,2011年4月に新設された研究組織です.

気候系の形成やその自然変動,それに伴う異常気象やその予測可能性,将来の温暖化や古気候,さらには地球規模の大気環境問題等に関わる力学的・物理学的・化学的研究課題に,データ解析,数値シミュレーション,室内実験や現場観測を通じて取組んでいます.地球気候に関わるこれらの研究課題に興味を抱く大学院生を歓迎します.

本研究室に所属するためには,地球惑星科学専攻に進学する必要があります.大学院入試案内はこちらです.

※事務的なお知らせ
中村尚教授は地球惑星科学専攻の地球惑星システム科学講座の協力教員です. 一方、竹川暢之准教授は 大気海洋科学講座 の協力教員です. 受験時の面接グループの選択の際にはご注意ください. なお,入学後は,大気海洋講座・地球惑星システム講座,どちらの講座主催の講義でも自由に受講できます.

気候変動科学グループ(中村研究室)

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 本研究グループでは,気候系で起こる時空間規模の重要な現象のメカニズムや予測可能性,それらの相互作用の解明を,観測データの力学的診断や数値モデリングにより推進している.

  • 異常気象の力学

    大気ロスビー波束の3次元群速度伝播を表わす診断法を開発し,気象庁の定例気候診断など国内外で活用されている.これにより,成層圏の波動が対流圏循環異常の発達に与える影響や日本に寒波をもたらす循環偏差「西太平洋パターン」が北極成層圏にもたらす寒冷化などの現象を見出した.

    また,停滞性ロスビー波束の伝播阻害と局所砕波というブロッキング高気圧形成の新理論を提示し,この型のブロッキングが日本に冷夏をもたらすオホーツク海高気圧や寒波をもたらすシベリア高気圧などの地表寒冷高気圧を増幅させることを示した.

  • 気候変動の科学

    夏の小笠原高気圧と南海上の台風活動との結合変動「PJパターン」のメカニズムを,夏季気候系に卓越する「湿潤力学モード」の観点から探求し,IPCC報告書の気候モデルにおける再現性や温暖化に伴う変調を調査している.小笠原高気圧を変動させる「シルクロードパターン」の力学も,アジアジェット気流に卓越する波状の「力学モード」の観点から探求している.

    亜熱帯高気圧の形成力学を,亜熱帯の海陸加熱差への大気応答という新しい観点から研究している.

    北太平洋10年規模気候変動の定説も覆し,熱帯からの直接の影響は亜熱帯海洋循環系に留まる一方,北西太平洋の亜寒帯前線帯(黒潮・親潮合流域)に集中した海水温変動がアリューシャン低気圧の変動と結合した中高緯度独自の変動を含むことを示し,このメカニズムの解明に取組んでいる.

    中緯度大気海洋結合の観点から大気大循環とその卓越変動の力学の再検証を進めている.特に,海洋のからの熱や水蒸気の供給が,移動性高低気圧活動を通じて,偏西風ジェット気流の形成や「環状モード変動(北極振動・南極振動の本質)」の活動(成層圏・対流圏結合変動を含む)に如何に寄与するかを数値モデリングなどから探求している.

    さらに,こうした新しい観点からシミュレーション結果を解析し,温暖化や氷期・間氷期サイクルに伴う大気・海洋循環の変化についても研究している.




大気環境計測グループ(竹川研究室)

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大気中に浮遊する微粒子 (エアロゾル) は,太陽放射を効率的に散乱・吸収するとともに,雲粒を形成する核として作用し,雲の光学特性を変化させる.これらの効果は,グローバルな放射収支に大きな影響を与えている.エアロゾルや雲の動態は,気候変動予測において最も不確定性の大きい部分である.

エアロゾルの粒径は,分子クラスターの数nmからダストや海塩粒子など10-100 μmのオーダーまで,5桁もの広範囲に及ぶ.さらに,その化学組成や形状なども多種多様である.これらの粒子は凝集や凝縮などのプロセスによって,その物理化学特性を時々刻々ダイナミックに変化させている.エアロゾルの粒径や組成をリアルタイムで計測できる装置の開発は,世界のエアロゾル研究のフロンティアとなっている.

本グループでは,レーザーや質量分析技術を駆使した先端的なエアロゾル計測装置の開発,およびフィールド観測に基づくエアロゾル生成過程の解明を主な研究テーマとしている.自らデザインした装置を作り上げ,それを用いて新しい自然現象を発見することは地球科学における観測研究の醍醐味である.フィールド観測は,地上または航空機を用いた直接 (in-situ) 観測を主体とし,東アジア・東南アジアを中心に幅広い領域で展開しつつある.

先端科学技術研究センター(先端研)へのアクセス情報

※授業が行われる本郷キャンパスから約50分です(根津・代々木上原間 地下鉄千代田線利用)

  1. 地下鉄千代田線・小田急線「代々木上原」駅から徒歩12分
  2. 小田急線「東北沢駅」から徒歩7分
  3. 井の頭線「駒場東大前駅」・「池ノ上」駅からともに徒歩10分

周辺地図

周辺地図

建物配置図(3号館です)

見出し 建物配置図

東京都目黒区駒場4-6-1 東京大学先端科学技術研究センター 3号館4階

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最終更新日: 2013年4月4日