研究テーマ

熱波や寒波などの異常気象の原因となる大気循環偏差(大気低周波変動)の力学 や、気候形成の力学、地球温暖化の予測研究を行っています。最近 では特に、 北極海の海氷の減少が中緯度域の大気に与える影響について研究しています。

論文

代表論文

表題:Robust Arctic sea-ice influence on the frequent Eurasian cold winters in past decades
(近年頻発しているユーラシアの寒冬に対する北極海の海氷の妥当な影響)
内容:
地球温暖化が進行中であるにも関わらず、ユーラシア大陸の中緯度域で寒冬にな る頻度が近年増加しています。それと同時に北極海で海氷が急速に 減少してお り、海氷の減少が中緯度域に寒冬をもたらしていることが示唆されていました が、数値モデルを使ったシミュレーションによってその関 係が十分に再現され ておらず、寒冬傾向が温室効果気体の増加などに伴う北極海の海氷の減少によっ てもたらされたものか、あるいは単に気候シス テム内部で自然に生じる内部変 動の現れなのかは明らかになっていませんでした。
この研究では気候モデルMIROCを用いて、北極海で海氷の量を変化させたシミュ レーションを大量のアンサンブルメン バーで実施し、海氷の減少がユーラシア 大陸の中緯度域に寒冬をもたらし得ることを明らかにしました。また、ユーラシ ア大陸の中緯度域で頻発し ている寒冬は、大気の内部変動と海氷の減少に対す る応答との組み合わせによるものと推定され、近年の急速な海氷の減少によっ て、寒冬になる確 率がユーラシア大陸の中央部で2倍 以上高くなっていること が分かりました。

これまでの経験

大学院卒業後から地球温暖化の予測研究に長く携わってきました。気候モデルの 開発とそれを用いた温暖化予測実験の現場で、気候研究の最前線を 経験できた ことは、世界を意識した視点の重要性に気づけたという意味でとても貴重な経験 でした。

後輩へのメッセージ

「もののふの矢橋の船は速くとも急がば回れ瀬田の唐橋」

経歴

宮崎県立宮崎西高等学校 卒業
2002年 静岡大学理学部物理学科 卒業
2004年 北海道大学大学院地球環境科学研究科 大気海洋圏環境科学専攻 修士課程 卒業
2008年 北海道大学大学院地球環境科学研究科 大気海洋圏環境科学専攻 博士号(地球環境学)取得
2008年 東京大学気候システム研究センター(現 大気海洋研究所) 特任研究員
2014年 東京大学大気海洋研究所 特任助教
2016年 東京大学先端科学技術研究センター 助教

趣味

【音楽鑑賞】特に日本のROCK・JAZZ・クラブミュージックなどをよく聴きます。
夏フェスなどで自分好みの音楽を発見すると興奮します。
【史跡巡り】歴史が好きです。歴史上の人物にゆかりのある場所や古戦場跡、お城などに行くと興奮します(熊本城の一口城主です)。
【猫】猫が好きです。猫を見ると興奮します。