泉 卓也

職歴等(修士課程修了から現在まで)

行政実務、国際交渉、在外留学などの様々な経験をしてきました。特許庁では、申請された発明に特許権が与えられるか否かの判断をしてきました。特許権を取得するためには、進歩があるか否かといった要件を満たす必要があります。私の仕事は発明の内容を理解し、特許権を付与するか否か決定することです。これまで、複写機や医用画像装置を担当してきました。
経済産業省では、知的財産や国際標準に関する国際交渉等を担当しました。国内の利害関係者と意見調整すること、そして、ジュネーブにある世界貿易機関や他国に出張し、日本の立場を主張したり、他国の主張に反論したり、意見調整したりすることが主な仕事でした。
米国のロースクールに2年間留学する機会もありました。そこでは、知的財産法を中心に勉強し、法学修士を取得しました。この経験は自らの研鑽になることはもちろんのこと、上述の国際交渉や審査実務に役立っています。その他にも、特許関係の雑誌の編集、特許関係の辞書改訂、学会発表、論文発表などもしてきました。


中村研究室での経験と後輩へのメッセージ

修士課程を過ごした中村研究室では、東アジアの冬のモンスーン等による熱輸送の経年変動について研究しました。この研究内容の一部は中村先生の査読論文に反映されました。また、この2年間は、社会人としての基礎も学びました。といっても、中村先生が社会人のイロハのオリエンテーションをしてくれるわけではありません。
私が学んだことは「俺たちは最先端のことをしているのだ」という姿勢とそのための惜しみのない努力です。中村先生の論文に興味を持ち、私が必死に理解を深めようとしていたとき、一緒に暖かく議論してくれました。それは苦労が喜びに変わった瞬間でした。研究であっても行政であっても、常に新しい社会的な課題に対応しなければいけません。そんなときに、努力を惜しまず、考え抜き、前進させることは社会人としての喜びです。これを読んだ方の中には、研究者として生きていくか迷っている人もいるかもしれません。中村研究室は、真剣に悩み考えるあなたにとって最高の場を提供してくれるでしょう。「東大・京大で1番読まれた本」と言われたことがある『思考の整理学』(外山滋比古著)の言葉を借りれば、グライダー人間から飛行機人間になるきっかけが中村研究室にはあります。