各種解析 - NCL tips

ここではNCLを用いた基本的な解析のやり方について紹介します


平均・偏差・分散など

単純平均

単純に平均を求める関数にもいくつかある。

  • avg

    最も単純な平均を求める関数。配列の次元に関わらずすべての要素の平均を計算する。

  • dim_avg

    配列の最も右の次元についての平均を求める関数。

  • dim_avg_Wrap

    dim_avgとほとんど同じ。もとの配列のメタデータを残したいときにはこれを使う。

  • dim_avg_n

    配列の指定した次元についての平均を求める関数。

  • dim_avg_n_Wrap

    dim_avg_nとほとんど同じ。もとの配列のメタデータを残したいときにはこれを使う。


移動平均

移動平均には単純な移動平均と重み付き移動平均がある。

  • runave

    重みなし移動平均を計算する(最も右の次元について)。

  • runave_Wrap

    runaveとほとんど同じ。もとの配列のメタデータを残したいときにはこれを使う。

  • runave_n

    重みなし移動平均を計算する(指定した次元について)。

  • runave_n_Wrap

    runave_nとほとんど同じ。もとの配列のメタデータを残したいときにはこれを使う。


重み付き移動平均は畳み込み積分と等価であるからフィルターなどにも用いる。

  • wgt_runave

    重み付き移動平均を計算する(最も右の次元について)。

  • wgt_runave_Wrap

    wgt_runaveとほとんど同じ。もとの配列のメタデータを残したいときにはこれを使う。

  • wgt_runave_n

    重み付き移動平均を計算する(指定した次元について)。


単純偏差

各データの生の値から平均を取り去ったものを偏差(平均偏差)という。したがって,上に挙げたような関数で平均を計算して引き算すれば偏差は求まるが,以下のような関数も用意されている。

  • dim_rmvmean

    全体から平均を差し引いて偏差を求める最も基本的な関数。

  • dim_rmvmean_n

    dim_rmvmeanにおいて計算される平均は最も右の次元についてだが,次元の順番を入れ替えるのは面倒なので,こっちを使うと良い。


年平均

年平均の計算には以下の関数が用意されている。


季節平均

月ごとのデータからの季節平均(3か月平均)の計算には以下のような関数が用意されている。
※ DJFとNDJは年をまたぐ。そのため,最初のDJF平均はJFの,最後のNDJ平均はNDの2ヶ月平均となることに注意。

  • month_to_season

    月平均データからある一つの季節のみに注目して季節(3か月)平均を計算する場合に用いる。

  • month_to_season12

    季節を特定せず,すべての季節に対して季節(3か月)平均値を計算したいときに用いる。

  • month_to_seasonN

    月ごとのデータから特定の複数の季節に対して季節(3か月)平均値を計算したいときに用いる。


月平均気候値

月平均気候値の計算には以下の関数が用意されている。

  • clmMonTLLL

    入力変数の次元が(time,lev,lat,lon)の順となっているときに用いる

  • clmMonLLLT

    入力変数の次元が(lev,lat,lon,time)の順となっているときに用いる

  • clmMonTLL

    入力変数の次元が(time,lat,lon)の順となっているときに用いる

  • clmMonLLT

    入力変数の次元が(lat,lon,time)の順となっているときに用いる


月平均偏差

元データから平均を除けば偏差となるが,monthlyデータの偏差は月ごとに異なる気候値を引くことがほとんどである。その時には以下の関数が使える。

  • calcMonAnomTLLL

    月平均データと月ごとに異なる気候値から月平均偏差を求める(TLLL用)。

  • calcMonAnomLLLT

    月平均データと月ごとに異なる気候値から月平均偏差を求める(LLLT用)。

  • calcMonAnomTLL

    月平均データと月ごとに異なる気候値から月平均偏差を求める(TLL用)。

  • calcMonAnomLLT

    月平均データと月ごとに異なる気候値から月平均偏差を求める(LLT用)。


気候値自体が必要ない場合には,以下の関数を用いて,途中で気候値の計算をはさむことなく偏差にすることができる。

  • rmMonAnnCycLLLT

    月平均データから月平均偏差を求める(LLLT用)。

  • rmMonAnnCycLLT

    月平均データから月平均偏差を求める(LLT用)。

  • rmMonAnnCycTLL

    月平均データから月平均偏差を求める(TLL用)。


日平均気候値

日平均気候値の計算に関連して,以下の関数が用意されている。clmDayTLLLclmDayTLLでは,時間に対して各年の何日目かを表す配列が入力変数として必要になり,これはday_of_yearでつくることが可能だ。

  • clmDayTLLL

    入力変数の次元が(time,lev,lat,lon)の順となっているときに用いる

  • clmDayTLL

    入力変数の次元が(time,lat,lon)の順となっているときに用いる


上の関数は単に各 day of year に対して平均を計算するだけであるが,このように計算された日平均気候値は"ガタガタ"であることが多く,しばしば平滑化を必要とする。runave_n等を用いて移動平均をかけることもできるし,以下の関数を用いて,1年周期とその高調波成分(次数指定可能)のみを取り出すこともできる。

  • smthClmDayTLLL

    日平均気候値の平滑化を行う関数。入力変数の次元が(time,lev,lat,lon)の順となっているときに用いる

  • smthClmDayTLL

    日平均気候値の平滑化を行う関数。入力変数の次元が(time,lat,lon)の順となっているときに用いる


また,月平均気候値から線形内挿によって日平均気候値をつくる関数も用意されている。

  • clmMon2clmDay

    月平均気候値を各月の真ん中の日平均気候値とし,そこから線形内挿によって毎日の日平均気候値をつくる関数。


日平均偏差

日別データから日付ごとに異なる(季節サイクルを含む)気候値を取り除き,日平均偏差を求めるには次の関数が使える。

  • calcDayAnomTLL

    入力変数の次元が(time,lat,lon)の順となっているときに用いる


領域平均

領域平均の計算には以下の関数がある。重みを付けることができるので,cos(緯度)の重み付き平均も簡単に計算できる。

  • wgt_areaave

    重みつき領域平均を計算する関数。1次元の二つの重み。

  • wgt_areaave2

    重みつき領域平均を計算する関数。2次元の一つの重み。


空間平滑化

空間平滑化には9点スムージングの関数が用意されている。パラメータを変えることで平滑化の強さを調節することや5点スムージングにすることが可能。


分散・標準偏差

分散や標準偏差を求める関数を紹介する。ここに示す関数は全て不偏分散,不偏標準偏差を計算することに注意(つまりN-1で割っている)。母分散,母標準偏差を計算したいときは修正する必要がある。

  • variance

    最も単純な不偏分散を求める関数。配列の次元に関わらずすべての要素の分散を計算する。

  • dim_variance

    配列の最も右の次元についての不偏分散を求める関数。

  • dim_variance_n

    配列の指定した次元についての不偏分散を求める関数。

  • stddev

    最も単純な不偏標準偏差を求める関数。配列の次元に関わらずすべての要素の標準偏差を計算する。

  • dim_stddev

    配列の最も右の次元についての不偏標準偏差を求める関数。

  • dim_stddev_Wrap

    dim_stddevとほとんど同じ。もとの配列のメタデータを残したいときにはこれを使う。

  • dim_stddev_n

    配列の指定した次元についての不偏標準偏差を求める関数。


月平均の標準偏差を計算したいときも多いだろう。そのような時には以下の関数が使える。

  • stdMonTLLL

    入力変数の次元が(time,lev,lat,lon)の順となっているときに用いる

  • stdMonLLLT

    入力変数の次元が(lev,lat,lon,time)の順となっているときに用いる

  • stdMonTLL

    入力変数の次元が(time,lat,lon)の順となっているときに用いる

  • stdMonLLT

    入力変数の次元が(lat,lon,time)の順となっているときに用いる


また,解析を行っていると,標準偏差で規格化したいときがあるだろう。そんなときに以下の関数が使える。

  • dim_standardize

    配列の最も右の次元についての標準偏差(不偏か母かは選べる)で全体を規格化する関数。

  • dim_standardize_n

    配列の指定した次元についての標準偏差(不偏か母かは選べる)で全体を規格化する関数。


微積分演算

ここでは,微積分演算,特にベクトル解析に関する関数を中心に紹介する。大気海洋分野で頻出の渦度や発散などを球面調和関数を用いて計算する関数が豊富に用意されているが,配列の座標等に制限があることを認識して使わなくてはならない。


差分・勾配

中心差分を行う関数。

  • grad_latlon_cfd

    lat-lonグリッド上のデータの中心差分を行う関数。


スプライン補間を用いて微分値を計算する関数。

  • ftcurvd

    スプライン補間を用いて微分値を計算する関数。


球面調和関数を用いて勾配を求めるprocedure

  • gradsf

    等間隔の緯度経度グリッド上の値から球面調和関数を用いて勾配を求めるprocedure

  • gradsg

    ガウス格子上の値から球面調和関数を用いて勾配を求めるprocedure


球面調和関数を用いて勾配の逆演算を行うprocedure

  • igradsf

    等間隔の緯度経度グリッド上の勾配の値から球面調和関数を用いてもとの値を求めるprocedure

  • igradsg

    ガウス格子上の勾配の値から球面調和関数を用いてもとの値を求めるprocedure


移流

任意の変数と速度ベクトルから移流を求める関数

  • advect_variable

    あるスカラー量の移流を球面調和関数を用いて求める関数。

  • advect_variable_cfd

    あるスカラー量の移流を中心差分を用いて求める関数。


発散・渦度

速度ベクトルから発散を求める関数やprocedure

  • uv2dvf

    等間隔の緯度経度グリッド上の東西風,南北風成分から球面調和関数を用いて発散を求めるprocedure

  • uv2dvF

    等間隔の緯度経度グリッド上の東西風,南北風成分から球面調和関数を用いて発散を求める関数

  • uv2dvF_Wrap

    等間隔の緯度経度グリッド上の東西風,南北風成分から球面調和関数を用いて発散を求める関数。メタデータを残したいときにはこれを使う。

  • uv2dvg

    ガウス格子上の東西風,南北風成分から球面調和関数を用いて発散を求めるprocedure

  • uv2dvG

    ガウス格子上の東西風,南北風成分から球面調和関数を用いて発散を求める関数

  • uv2dvG_Wrap

    ガウス格子上の東西風,南北風成分から球面調和関数を用いて発散を求める関数。メタデータを残したいときにはこれを使う。

  • uv2dv_cfd

    中心差分を用いて発散を計算する関数。


速度ベクトルから渦度を求める関数やprocedure

  • uv2vrf

    等間隔の緯度経度グリッド上の東西風,南北風成分から球面調和関数を用いて渦度を求めるprocedure

  • uv2vrF

    等間隔の緯度経度グリッド上の東西風,南北風成分から球面調和関数を用いて渦度を求める関数

  • uv2vrF_Wrap

    等間隔の緯度経度グリッド上の東西風,南北風成分から球面調和関数を用いて渦度を求める関数。メタデータを残したいときにはこれを使う。

  • uv2vrg

    ガウス格子上の東西風,南北風成分から球面調和関数を用いて渦度を求めるprocedure

  • uv2vrG

    ガウス格子上の東西風,南北風成分から球面調和関数を用いて渦度を求める関数

  • uv2vrG_Wrap

    ガウス格子上の東西風,南北風成分から球面調和関数を用いて渦度を求める関数。メタデータを残したいときにはこれを使う。

  • uv2vr_cfd

    中心差分を用いて渦度を計算する関数。


速度ベクトルから渦度と発散を同時に求める関数やprocedure

  • uv2vrdvf

    等間隔の緯度経度グリッド上の東西風,南北風成分から球面調和関数を用いて渦度と発散を求めるprocedure

  • uv2vrdvF

    等間隔の緯度経度グリッド上の東西風,南北風成分から球面調和関数を用いて渦度と発散を求める関数

  • uv2vrdvg

    ガウス格子上の東西風,南北風成分から球面調和関数を用いて渦度と発散を求めるprocedure

  • uv2vrdvG

    ガウス格子上の東西風,南北風成分から球面調和関数を用いて渦度と発散を求める関数


渦度と発散から速度ベクトルを求める関数やprocedure

  • vrdv2uvf

    等間隔の緯度経度グリッド上の渦度,発散から球面調和関数を用いて速度場を求めるprocedure

  • vrdv2uvF

    等間隔の緯度経度グリッド上の渦度,発散から球面調和関数を用いて速度場を求める関数

  • vrdv2uvg

    ガウス格子上の渦度,発散から球面調和関数を用いて速度場を求めるprocedure

  • vrdv2uvG

    ガウス格子上の渦度,発散から球面調和関数を用いて速度場を求める関数


発散風・回転風

発散のみから速度ベクトルを求める関数やprocedure。したがって,求まる速度は発散風成分のみ。

  • dv2uvf

    等間隔の緯度経度グリッド上の発散から球面調和関数を用いて発散風を求めるprocedure

  • dv2uvF

    等間隔の緯度経度グリッド上の発散から球面調和関数を用いて発散風を求める関数

  • dv2uvg

    ガウス格子上の発散から球面調和関数を用いて発散風を求めるprocedure

  • dv2uvG

    ガウス格子上の発散から球面調和関数を用いて発散風を求める関数


渦度のみから速度ベクトルを求める関数やprocedure。したがって,求まる速度は回転風成分のみ。

  • vr2uvf

    等間隔の緯度経度グリッド上の渦度から球面調和関数を用いて回転風を求めるprocedure

  • vr2uvF

    等間隔の緯度経度グリッド上の渦度から球面調和関数を用いて回転風を求める関数

  • vr2uvg

    ガウス格子上の渦度から球面調和関数を用いて回転風を求めるprocedure

  • vr2uvG

    ガウス格子上の渦度から球面調和関数を用いて回転風を求める関数


ラプラシアン

スカラーラプラシアンを計算する関数やprocedure

  • lapsf

    等間隔の緯度経度グリッド上のスカラーの2次元ラプラシアンを球面調和関数を用いて求めるprocedure

  • lapsF

    等間隔の緯度経度グリッド上のスカラーの2次元ラプラシアンを球面調和関数を用いて求める関数

  • lapsg

    ガウス格子上のスカラーの2次元ラプラシアンを球面調和関数を用いて求めるprocedure

  • lapsG

    ガウス格子上のスカラーの2次元ラプラシアンを球面調和関数を用いて求める関数


逆スカラーラプラシアンを計算する関数やprocedure

  • ilapsf

    等間隔の緯度経度グリッド上のスカラーの2次元逆ラプラシアンを球面調和関数を用いて求めるprocedure

  • ilapsF

    等間隔の緯度経度グリッド上のスカラーの2次元逆ラプラシアンを球面調和関数を用いて求める関数

  • ilapsg

    ガウス格子上のスカラーの2次元逆ラプラシアンを球面調和関数を用いて求めるprocedure

  • ilapsG

    ガウス格子上のスカラーの2次元逆ラプラシアンを球面調和関数を用いて求める関数


ベクトルラプラシアンを計算する関数やprocedure

  • lapvf

    等間隔の緯度経度グリッド上のベクトルの2次元ラプラシアンを球面調和関数を用いて求めるprocedure

  • lapvg

    ガウス格子上のベクトルの2次元ラプラシアンを球面調和関数を用いて求めるprocedure


逆ベクトルラプラシアンを計算する関数やprocedure

  • ilapvf

    等間隔の緯度経度グリッド上のベクトルの2次元逆ラプラシアンを球面調和関数を用いて求めるprocedure

  • ilapvg

    ガウス格子上のベクトルの2次元逆ラプラシアンを球面調和関数を用いて求めるprocedure


流線関数・速度ポテンシャル

速度ベクトルから流線関数と速度ポテンシャルを計算する関数やprocedure

  • uv2sfvpf

    等間隔の緯度経度グリッド上の速度ベクトルから球面調和関数を用いて流線関数と速度ポテンシャルを求めるprocedure

  • uv2sfvpF

    等間隔の緯度経度グリッド上の速度ベクトルから球面調和関数を用いて流線関数と速度ポテンシャルを求める関数

  • uv2sfvpg

    ガウス格子上の速度ベクトルから球面調和関数を用いて流線関数と速度ポテンシャルを求めるprocedure

  • uv2sfvpG

    ガウス格子上の速度ベクトルから球面調和関数を用いて流線関数と速度ポテンシャルを求める関数


流線関数と速度ポテンシャルから速度ベクトルを計算する関数やprocedure

  • sfvp2uvf

    等間隔の緯度経度グリッド上の流線関数と速度ポテンシャルから球面調和関数を用いて速度ベクトルを求めるprocedure

  • sfvp2uvg

    ガウス格子上の流線関数と速度ポテンシャルから球面調和関数を用いて速度ベクトルを求めるprocedure


鉛直微分

鉛直微分の関数ではないが,スプライン補間を行い微分値を計算する関数ftcurvdを用いて鉛直微分を計算することが可能である。


また,中心差分の関数であるcenter_finite_diffcenter_finite_diff_nも用いることができる。


鉛直積分

鉛直積分の関数としてvibetaがある。

  • vibeta

    圧力座標において鉛直積分を行う関数


また,鉛直積分の関数ではないが,スプライン補間を行い積分値を計算する関数ftcurviを用いて鉛直積分を計算することも可能である。



相関・回帰解析

相関解析,回帰解析を行うときに用いる関数を紹介する。


相関係数

相関係数を求める。

  • escorc

    xとyの相関係数を求める(最も右の次元について)。

  • escorc_n

    xとyの相関係数を求める(指定した次元について)。

  • esccr

    xとyの相互相関係数を求める(最も右の次元について)。

  • esacr

    xの自己相関係数を求める(最も右の次元について)。


パターン相関

パターン相関の計算には以下の関数を用いる。

  • pattern_cor

    xとyのパターン相関を求める。空間平均からのずれに対する相関(centered correlation, いわゆる普通の相関係数)か,空間平均を引かない生の値から求めた相関(uncentered correlation, コサイン類似度)か選ぶことができる。


1次元データのトレンド・回帰係数

ここでは,回帰係数の計算に用いる関数を紹介する。まず,最も簡単な1次元配列を扱う関数について。

  • regline

    1次元配列の回帰。回帰係数のattributeとして,平均値やt値などを返してくれる。

  • regline_stats

    reglineと同じであるが,より多くの統計値を返してくれる。詳細は省略する。


多次元データのトレンド・回帰係数

多次元配列に対して回帰係数を計算する関数を紹介する。

  • regCoef

    yをxに回帰した回帰係数を計算する(最も右の次元について)。

  • regCoef_n

    yをxに回帰した回帰係数を計算する(指定した次元について)。


トレンドの除去

トレンドの計算は,実際にはトレンドを除くために用いることの方が多いかもしれない。回帰係数を求める関数を用いて回帰直線を求め,差し引いて計算してもよいが,一度にトレンドを除く関数も用意されている。


  • dtrend

    トレンドを除去する(最も右の次元について,欠損なし,x方向に等間隔)。

  • dtrend_n

    トレンドを除去する(指定した次元について,欠損なし,x方向に等間隔)。

  • dtrend_msg

    トレンドを除去する(最も右の次元について,欠損あってもよい,x方向に等間隔でなくてもよい)。

  • dtrend_msg_n

    トレンドを除去する(指定した次元について,欠損あってもよい,x方向に等間隔でなくてもよい)。


下二つの関数は時間方向のトレンドを除くこと以外にも使えて,例えば変数yからENSOと相関するシグナルを簡単に除きたい時にはxにENSOのインデックスを入れれば計算できることになる。


コンポジット解析

コンポジット(合成図)解析は基本的な解析手法であるが,単なる平均操作に過ぎないために特に関数は用意されていない。平均の関数や関数indなどを用いて計算しよう。

例として,変数y(時間×緯度×経度の3次元配列)を変数x(時間次元のみの1次元配列)に基づいてコンポジットすることを考える。コンポジットの基準は,正のイベントをxがその1標準偏差を超えるとき,負のイベントを-1標準偏差を下回るときで定義する。例えば,yが月平均降水量のマップで,xが月平均Niño3.4 SSTのような場合を想定している。

x   = x/stddev(x)                     ; 標準偏差で規格化
POS = ind(x.gt. 1.)                   ; 正のイベントに対応する時間次元のインデックス
NEG = ind(x.lt.-1.)                   ; 負のイベントに対応する時間次元のインデックス
y_pos = dim_avg_n_Wrap(y(POS,:,:),0)  ; 正のイベントのコンポジット
y_neg = dim_avg_n_Wrap(y(NEG,:,:),0)  ; 負のイベントのコンポジット


スペクトル解析

スペクトル

1つの時系列データに対しては以下の関数を用いる。


2つの時系列データに対するスペクトル(クロススペクトル)解析を行う際には、次の関数が用意されている。


なお,スペクトル解析を行う前にはいろいろと前処理が必要となるだろう。例えば,トレンドの除去はdtrenddtrend_nなど,テーパリングはtapertaper_nで行うことができる。


フィルター

Lanczos窓(sinc関数を用いた窓)を用いて時系列データにフィルターをかける際には以下の関数を用いる。

  • filwgts_lanczos

    Lanczosフィルターの重み(応答関数)を計算する関数。
    本関数で計算された重みに対して、wgt_runaveなど、重み付き移動平均を計算する関数を用いることで、
    任意の周波数帯域でフィルターされたデータを求めることができる。


Butterworthフィルターの関数もある。

  • bw_bandpass_filter

    時系列にButterworthバンドパスフィルターを施す関数。


フーリエ展開

スペクトルに載せた関数以外にも,フーリエ変換に関連する関数はいろいろあり,一部を紹介する。関数名末尾の"f"は"forward","b"は"backward"の頭文字。

  • ezfftf

    配列の最も右の次元についてフーリエ変換する関数

  • ezfftf_n

    配列の指定した次元についてフーリエ変換する関数

  • cfftf

    配列の最も右の次元について複素フーリエ変換する関数

  • fft2df

    2次元のフーリエ変換を行う関数。

  • ezfftb

    配列の最も右の次元についてフーリエ逆変換する関数

  • ezfftb_n

    配列の指定した次元についてフーリエ逆変換する関数

  • cfftb

    配列の最も右の次元について複素フーリエ逆変換する関数

  • fft2db

    2次元のフーリエ逆変換を行う関数。


球面調和関数展開

フーリエ展開と同様に球面調和関数展開を行う関数も用意されている。関数名の"sh"(spherical harmonics)に続く"a"は"analysis","s"は"synthesis"の頭文字。

  • shaec

    等間隔の緯度経度グリッド上のスカラー場に対して球面調和関数展開を行うprocedure。

  • shaeC

    等間隔の緯度経度グリッド上のスカラー場に対して球面調和関数展開を行う関数。

  • shagc

    ガウス格子上のスカラー場に対して球面調和関数展開を行うprocedure。

  • shagC

    ガウス格子上のスカラー場に対して球面調和関数展開を行う関数。

  • shsec

    球面調和関数展開された等間隔の緯度経度グリッド上のスカラー場を復元するprocedure。

  • shseC

    球面調和関数展開された等間隔の緯度経度グリッド上のスカラー場を復元する関数。

  • shsgc

    球面調和関数展開されたガウス格子上のスカラー場を復元するprocedure。

  • shsgC

    球面調和関数展開されたガウス格子上のスカラー場を復元する関数。


また,球面調和関数展開係数に対して波数切断を施す関数は以下の通り。

  • tri_trunc

    球面調和関数展開係数の三角切断を行うprocedure。

  • tri_trunC

    球面調和関数展開係数の三角切断を行う関数。

  • rhomb_trunc

    球面調和関数展開係数の平行四辺形切断を行うprocedure。

  • rhomb_trunC

    球面調和関数展開係数の平行四辺形切断を行う関数。


EOF・SVD解析

主成分分析(PCA)あるいは経験的直交関数(EOF)解析を行う関数と,特異値分解(SVD)解析を行う関数について紹介する。

経験的直交関数(EOF)解析

NCLではEOF解析を行うために、以下のような関数が用意されている。 スクリプト例:SST偏差のEOF解析も参照。

  • eofunc

    データ行列から,その共分散(または相関)行列の固有値・固有ベクトルを求める関数。

  • eofunc_ts

    eofuncで求めた固有ベクトルから,対応する時間関数を計算する関数。


回転EOFを行う関数も用意されている。

  • eofunc_varimax

    eofuncで得られた固有ベクトルを,Kaiserの方法で回転させる(varimax_EOF)関数。


特異値分解(SVD)解析

NCLではSVD解析を行うために、以下のような関数が用意されている。スクリプト例:高度場偏差とSST偏差のSVD解析も参照。

  • svdcov_sv

    共分散行列に対してSVDを行い,右特異行列,左特異行列を出力する関数。

  • svdstd_sv

    共分散行列を標準偏差で規格化したもの,つまり相関行列に対してSVDを行い,右特異行列,左特異行列を出力する関数。

  • svdcov

    共分散行列に対してSVDを行い,時間関数,同質相関マップ,異質相関マップを出力する関数。

  • svdstd

    共分散行列を標準偏差で規格化したもの,つまり相関行列に対してSVDを行い,時間関数,同質相関マップ,異質相関マップを出力する関数。


統計検定

統計検定において使える関数の一部を紹介する。

  • ttest

    平均値の差に対して両側t検定を行い,p値を返す関数。

  • rtest

    相関係数に対して両側t検定を行い,p値を返す関数。

  • ftest

    分散の比に対してF検定を行い,p値を返す関数。

  • cdft_p

    与えられた自由度のt分布に基づき,t値に対応する累積確率を返す関数。

  • cdft_t

    与えられた自由度のt分布に基づき,累積確率に対応するt値を返す関数。

  • cdfnor_p

    与えられた平均と標準偏差の正規分布に基づき,ある値に対応する累積確率を返す関数。

  • cdfnor_x

    与えられた平均と標準偏差の正規分布に基づき,累積確率に対応する値を返す関数。

  • cdfchi_p

    与えられた自由度のχ二乗分布に基づき,ある値に対応する累積確率を返す関数。

  • cdfchi_x

    与えられた自由度のχ二乗分布に基づき,累積確率に対応する値を返す関数。


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