佐藤 大卓

私は学部4年生時の特別演習から修士をとるまで中村研にお世話になりました。現在は気象庁で働いています(2012年4月~)。

中村研で経験したこと

私が中村研に居たほとんどの時間は、観測データの解析をやっていました。最初は中村先生から大まかな研究テーマを与えていただき、先生が提案したいろいろなデータのいろいろな統計量を見ていくというスタイルで研究が始まりました。ある時偶然直感に反するような統計結果が出てきたことがきっかけで、自分の中に「それがどのように説明されるのか明らかにしたい」という思いが芽生え、面白くなって解析を進め、結局それで修士論文を書きました。
研究を進めるにあたっては、研究の内容に関することは勿論として、データからいかに情報を抽出するか、いかに人に理解されるような図を作りプレゼンをするかについても懇切丁寧に指導していただきました。そのような技能は一朝一夕で身につくものではないと思います。その点において、毎週末のgroup meetingはそうした力を養う場でもあったと思います。私はまだまだ駆け出し者ではありますが、実際に現在の職場においても「ああいう風に指導してもらって良かった」と感じることが何度かありました。
当然ながら、行き詰ったり、迷走したりで、研究を進めるのは易しくないことでした。とは言うものの、不安はそれほど強く感じませんでした。先生や助教、ポスドクの方が常に適切な方向付けを与えて下さったおかげだと思います。また同じ大学院生の皆さんには、息抜きの時間を楽しませてもらったり、一生懸命な姿を見て自分もやらなければと思わされたりでした。良い影響を与え合う環境があって、そうした空気があればこそ研究を続けることができたと思っています。それに、他の人の研究の話を聞くのも大変勉強になりました。研究を進めるのに適した雰囲気であったと思います。
最後に、上に述べたように最初はピントを絞らずにいろいろな対象を解析していたので、修士論文にならなかったテーマもいくつかありました。それらのテーマは研究室を離れた今でも、journalに投稿するべく折を見て解析を進めています(修士論文のテーマももちろん続けています)。このような環境は非常に恵まれていることだと思います。

後輩に伝えたいこと

(分不相応なようですが……)上にも述べたように、中村先生をはじめ、助教、ポスドクの先輩方は極めて丁寧に指導して下さいますし、院生の先輩方の面倒見も非常によく、研究するのには雰囲気の良い研究室であると思います。もちろん研究室を決めようとするに当たって、入る前から何かしらの確信を持ってそこに飛び込めるというのはなかなかできないことだと思いますが、私が中村研を選んだのは、「この研究室に入れば必ず何ものかを身につけられるはずだ」というような直感というか、何かそう思わせしめるような確かさ、力強さを感じたからです。今振り返ってみて、その直感はおそらく間違っていなかっただろうと思います。