オーストラリアモンスーンモニタ
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オーストラリア北部の15日移動平均雨量
今年の,南半球の夏を中心とする1年(8月から7月まで)における,オーストラリア北部の陸域 [南緯25–10度,東経120–145度] で平均した雨量(Sekizawa et al. 2023)。細い黒線と太いピンク線は,それぞれ日雨量と15日移動平均雨量を示します。グレーの線は15日移動平均雨量の1958~2021年の気候平均値であり,その経年変動が最低~最高十分位値(10~90パーセンタイル)の幅を示す明るい陰影と,最低~最高四分位値(25~75パーセンタイル)の幅を示す濃い陰影とで表現されています。赤と青の線は,1958~2021年の1~2月雨量により抽出されたそれぞれ20の強いモンスーン年と弱いモンスーン年とについて合成した雨量です。雨量はオーストラリア気象局が提供する格子点データを使用しました。

オーストラリアモンスーンについて

オーストラリア北部における雨量の季節変化は,明瞭な雨季(11~4月頃)と乾季(5~10月頃)を示します。雨季のうち,東風である貿易風が反転して西風が卓越する期間には,年降水量の約半分に達する多量の降水がもたらされます。この西風,あるいはそれが卓越する期間や現象のことを,(夏季)オーストラリアモンスーンとよびます。オーストラリアモンスーンは典型的に12月後半から3月前半にかけて続きます(Suppiah 1992; Drosdowsky 1996; Kajikawa et al. 2010など)。

オーストラリアモンスーンの経年変動は,熱帯オーストラリアにおける農畜産業に重要であるばかりでなく,東アジアの冬季の気候へと赤道を越えた影響も及ぼします。Sekizawa et al. (2021) は平年より強い(弱い)オーストラリアモンスーンが,冬季東アジアモンスーンの強化(弱化)やオホーツク海氷の減少(増加)をもたらすことを示しました。オーストラリアモンスーンの活動はラニーニャ現象との相関を部分的に示しますが,モンスーンシステムに固有の内部変動が卓越することが知られています(Sekizawa et al. 2018; 2023)。

季節内の時間スケールにおいても,オーストラリア北部の降水量は大きな変動を示します。夏季モンスーン期は複数の活発期(monsoon burst)とその間のmonsoon breakとからなることが多く,主に南半球中緯度の大気擾乱(Berry & Reeder 2016; Narsey et al. 2017)や熱帯域のマッデン・ジュリアン振動(MJO; Hendon & Liebmann 1990; Wheeler et al. 2009)にともなって変動します。

参考文献

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