風による汚染大気等の広がり

キーワード 「物質輸送」

大気に国境は無いと言われたりもするように、風は世界中を廻り、大気中の物質もこうした風に流されて広範囲に運ばれることがあります。黄砂が中国から日本へ飛来してくることや、2011年3月の福島第一原子力発電所事故により放出された放射性物質が北米やヨーロッパで検出されたのがその例です。

震災直後の3月15日に放出された大量の放射性物質は、低気圧に伴う上昇気流により上空に持ち上げられ、上空を流れる偏西風に乗って薄まりつつも北米やヨーロッパに達しました。こうした様子を、九州大学応用力学研究所や東京大学大気海洋研究所と共同して行った数値シミュレーションとデータ解析から明らかにしました。

2011年3月15日9時(日本時間)の海面気圧(等値線)と高度1.5km付近の上昇流(色)。矢印は高度5km付近の風を3月15日~18日で平均したもの。
2011年3月15日~18日で平均した高度5km付近の風(矢印)とその風速(色)。