気候系のhot spot:熱帯と寒帯が近接するモンスーンアジアの大気海洋結合変動 - 文部科学省 科学研究費補助金 新学術領域研究 平成22年度~26年度

レポート:学会参加報告

北方圏国際シンポジウムに参加して

  • 日時:2013年2月17日-2月21日
  • 場所:北海道紋別市
  • 報告者:中野渡 拓也 (北海道大学低温科学研究所 研究員)

北海道紋別市において2月17日~21日に開催された国際シンポジウム「The 28th International Symposium on Okhotsk Sea and Sea ice」 の参加報告です。このシンポジウムは毎年2月に北海道紋別市で開催されており、 オホーツク海をはじめとする極域海洋学に関する研究成果について活発な議論が行われています。今回は、 このシンポジウム発足から実行委員長を務めておられました北海道立オホーツク流氷科学センター前所長の青田昌秋先生の 追悼記念シンポジウムということで、国内外から多数の来賓や研究者が参加しました。

私が発表したセッションは、オホーツク海・北極域における大気海洋海氷相互作用に関するもので、A03-9班(代表:三寺史夫)の メンバーをはじめとする極域大気海洋研究者による17件の発表がありました。このセッションでは、私はオホーツク海やその周辺海域 におけるコヒーレントな水位変動について口頭発表をしました。今回は、残念ながらロシアの研究者との活発な議論はありませんでしたが、 班のメンバーや国内の極域研究者との議論をすることができ、有意義なワークショップでした。

このシンポジウムは、シニアによる先端の研究発表や情報交換の場としてだけでなく、大学院生や若手の研究者にとっての 英語による発表をする鍛錬の場としても活用されており、幅広い層をターゲットとしたシンポジウムであると思いました。 また、今回はロシアからの研究発表がほとんどありませんでしたが、オホーツク海について一般に公開されていないデータを使った研究の 発表も歴史的には盛んに行われており、オホーツク海に関する研究について、思いがけないコメントをもらうことや交流を図る機会としても とても貴重なものだと思います。

このシンポジウムのもう一つの特徴が、市民と研究者一体型のシンポジウムである点です。私たちのような科学者による学術分科会に加えて、 各分野の専門家による市民公演、道民カレッジ連携講座やその一環として中学生による自然体験学習報告会など多くの催しが組み込まれています。 また、夜は協賛行事としてオホーツク流氷科学センターで開かれるホワイトコンサート(今回は、宮本信子さんが出演してのジャズコンサート)や ボランティアとの食事会(交歓の夕べ)などもあり、非常に充実したシンポジウム構成となっていました。


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