黒潮続流循環系の形成・変動のメカニズムと大気・海洋生態系への影響
研究成果:黒潮大蛇行の謎に迫る
図1: 2004年夏に生じた大蛇行の発生過程。4月から8月にかけての水位の分布を示します。水位が高い部分を右手に見るように海流は流れます。4月に九州沖で低水位を伴った蛇行が後に大蛇行へと発達する小蛇行です。小蛇行の南には、高水位を伴う渦が見られ、この「渦のペア」が強まりながら、大蛇行へと発達する様子が見られます。また、大蛇行の発生前から伊豆諸島付近では、黒潮が三宅島付近に位置していることが分かります。
日本の南を流れる黒潮には、大きく分けて2種類の安定した流路パターンがあることが知られています(これを流路の多重性と言います)。ひとつは、東海沖で大きく南方へ迂回する「大蛇行流路」、もう一方は本州南岸にほぼ沿って流れる「非大蛇行流路」と呼ばれるもので(図1)、共に1年から数年程度の持続性があります。このような流路の多重性、特に