学部で学んでおくべきこと

数学・力学

この先で学ぶ物理学の基礎になります。特に線形代数や、電磁気学で扱うベクトル解析は大気力学の理解やデータの解析にとって重要なので、しっかり勉強しておく必要があります。力学では微分方程式の解法の基礎を学んでおくことが重要です。また、球面上での演算子等を含む方程式を解くために、球面調和関数展開などを用います。「物理のための数学」等の教科書が多くの範囲をカバーしてくれるのでお勧めですが、たくさん教科書があるのでその中から自分に合ったものを探してみるのも良いでしょう。

物理のための数学
対応する東大の授業  数学・力学(必修)教養
 複素解析、特殊関数論(物理数学Ⅰ・Ⅱ)

統計学・データ解析

大気力学は統計的な解析が必須なので、分散などの統計量や、検定などの統計の基礎について学習しておきましょう。「統計学入門(東京大学出版会)」などが教科書として挙げられます。また、大気力学分野においてはEOF解析やSVD解析といった手法が重要です。参考書としては「UNIX/Windowsを使った実践気候データ解析(古今書院)」があります。

統計学入門

実践気候データ解析
対応する東大の授業  基礎統計(総合科目:夏冬学期)
 地球惑惑星データ解析(地球惑星物理学科)

流体力学

大気力学・海洋力学の基礎として必要です。弾性体力学と合わさって連続体力学として扱われていることも多いです。流体力学の中でも特に渦や流れの力学が大気力学・海洋力学では重要です。
対応する東大の授業  地球流体力学Ⅰ・Ⅱ(地球惑星物理学科)

プログラミング

大気力学の解析では、主にFortranのプログラムを用います。Fortranの経験がある人は少ないかもしれませんが、プログラミング言語の基本的な考え方や構造はほとんど共通しているので、Cなど他の言語の経験があれば容易に習得することができます。それ以外にもUnixに関する知識、またデータの扱い方や図の描画方法(gnuplotなど)、微分方程式の差分解法などについても学んでいることが望ましいです。
対応する東大の授業  地球惑星物理学演習(地球惑星物理学科)

気象学

大気力学・海洋力学全般に関する基礎的な知識・理論を学んでおくことが、研究を進めるために重要です。特に、大気力学を含む気象学全般の入門的教科書としては「一般気象学(東京大学出版会)」、一般気象学よりももう少し進んだ内容としては「総観気象学入門(東京大学出版会)」などが挙げられます。さらに勉強したいという人は英語の教科書ですが「An Introduction to Dynamic Meteorology (James R. Holton and Gregory J Hakim, Elsevier academic press)」が読みやすくお勧めです。

一般気象学

総観気象学入門

An Introduction to Dynamic Meteorology
対応する東大の授業  惑星地球科学Ⅱ(教養学部総合科目:夏学期)
 大気海洋循環学(地球惑星環境学科・地球惑星物理学科)
 気象学(地球惑星物理学科)
 海洋物理学(地球惑星物理学科)
 大気海洋系物理学(地球惑星物理学科)

英語

大学院に進学してすぐに流暢な英語が話せなければいけないということはありません。しかし大学院では英語の教科書の輪読や英語でのセミナーもよく行われ、複雑な英語を多く読む能力は進学後すぐに必要になるので、学部生の頃から英語に慣れておくことは大切です。