高校生のみなさんへ

皆さんは中学校の理科第2分野で天気や気象に関する内容を学んだはずです。もしあなたの高校で地学の授業が設けられていれば、地学の教科書や参考書を通じて、気象・気候・海洋に関する内容を含め、地球科学に関する幅広い内容をさらに深く学習することになります。ちなみに、中村教授は高校地学の教科書を執筆しています。

地学基礎

地学
ただし、残念ながら、全ての高校で地学が教えられているわけではありません。高校で地学の授業を取れない場合には、市販の雑誌・書籍・参考書で勉強を始めてみるのが良いでしょう。

気象学の基礎的な参考書としては、「一般気象学(東京大学出版会)」が挙げられます。「気象予報士を目指す人のバイブル」とも呼ばれる本でやや難しい所もあるかもしれませんが、大気力学の基礎的な内容をできるだけ数式を用いずに解説しているので、大学以上の知識がなくとも読み進めていくことができます。
また、気象庁のウェブサイト等では日々の気象現象がわかりやすく解説されているため、気象現象に関する知識を得るために、折に触れて目を通してみると良い勉強になります。さらに、高校生向けのセミナーや講演会なども各地でしばしば開かれているので、これらに足を運んでみるのも良いでしょう。
なお、中村教授がリーダーを務める中緯度大気海洋相互作用に関する研究プロジェクト「気候系のhot spot」のホームページには、気象・気候に関するトピックが分かりやすく解説されているほか、プロジェクトに参加する大学院生や若手研究者の体験記などが掲載されています。また、科学雑誌「ニュートン」には、中村教授などの専門家が監修した気象・気候に関する特集記事がしばしば掲載され、そのいくつかは単行本「ニュートンムック」にまとめられています。
ここで強調しておきたいのは、気象・気候の研究には気象の知識だけではなく、物理・化学といった、理科全般にわたる知識が不可欠だということです。加えて、「自然現象を記述するための言語」である数学の知識やそれに基づく数理的論理思考能力の獲得も必須ですので、理数科目の内容をきちんと身に付けるようください。

一般気象学

天気と気象

大学1-2年生のみなさんへ

大学1-2年生では、大気・気候力学の研究を行うための基礎を身に付けることが重要です。特に、物理や数学などの基礎は重要になります。線形代数やベクトル解析、微分方程式の解法の基礎をしっかりと学んでください。加えて、統計学の基本的な内容についても身に付けておく必要があります。また、プログラミングや計算機の素養も必要になるので、余裕があれば機会を見つけて学んでおくと良いでしょう。もちろん、英語力を高めておくことも不可欠です。
できれば、早いうちから気象・気候の基礎について学んでおき、理論や考え方に触れておくとよいです。「一般気象学(東京大学出版会)」や、それよりもう少し進んだ内容としては「総観気象学入門(東京大学出版会)」などが参考書として挙げられます。
なお、中村教授が本学教養学部で夏学期に担当する「惑星地球科学Ⅱ」の授業では、地球気候の成り立ち、温室効果、温暖化の仕組みやその将来予測、天気予報の原理などについての基礎について、図をふんだんに用いた分かりやすい解説が行なわれています。
東京大学教養学部においては、数学・力学(必修)、基礎統計(総合科目:夏冬学期)、惑星地球科学II(総合科目:夏学期)などが、重要な科目となります。
これらを学ぶための参考書としては、「物理のための数学」「統計学入門(東京大学出版会)」が挙げられます。

東京大学の場合、2年生の夏前に“進学振り分け”も控えています。将来自分がどのような分野に進みたいか、どのような現象を研究したいかについて、大まかにでもよいので早い時期から考え始めておく必要があります。多くの研究室は学生の研究室訪問を歓迎しています。興味のある研究室に連絡を取って先生や院生に会ってみることは、進路選びの参考になるでしょう。
なお、中村教授がリーダーを務める中緯度大気海洋相互作用に関する研究プロジェクト「気候系のhot spot」のホームページには、気象・気候に関するトピックが分かりやすく解説されているほか、プロジェクトに参加する大学院生や若手研究者の体験記などが掲載されています。また、中村研究室のホームページも気象・気候に関するトピックが複数掲載されています。
さらに、科学雑誌「ニュートン」には、中村教授などの専門家が監修した気象・気候に関する特集記事がしばしば掲載され、そのいくつかは単行本「ニュートンムック」にまとめられています。気象や海洋の専門用語については、「現代用語の基礎知識」(自由国民社)にまとめられ、社会で話題になった用語は毎年更新されます。中村教授も執筆に加わっています。

物理のための数学

統計学入門

天気と気象

大学3-4年生のみなさんへ

気候力学においては大気海洋間の相互作用が重要で、大気力学・海洋力学全般に関する基礎的な知識・理論を学んでおくことが、研究を始めるためには重要です。その基礎となる地球流体力学Ⅰ・Ⅱも履修しておくのが望ましい科目です。そして、大気力学だけではなく、雲や降水、大気の放射過程、物質循環などに関して、様々な理論や視点を学部の授業や参考書を通じて幅広く学んでおく事が望まれます。
東京大学では、地球惑星物理学科を中心に大気・海洋に関する科目が多数用意されており、これらはどの講義も非常に重要なので是非履修して下さい。さらに、これらの専門的な科目を学ぶ上での礎ともなる物理の科目(物理数学・量子力学・統計力学など)も、なるべく履修しておくことが望まれます。
データを解析するのに必要な、計算機プログラミングに関する知識も学んでおく必要があります。地球惑星物理学科では地球惑星物理学演習(3年夏)でunixに関する知識やfortranでのプログラミングを学び、地球惑星データ解析(4年夏)では実際に解析に用いられる手法について学ぶことができます。自分でこれらの内容について学習したい場合、unixやfortranの内容については多数の本が書店に並んでいるのでそれらの中から自分に合うものを利用すれば良いでしょう。気象・気候学で実際に用いられるデータ解析手法については「実践気候データ解析(古今書院)」に良くまとめられていますので、参考書としてお勧めです。

研究者にとって、大気・気候力学の知識に加え英語の能力は必須ですので、英語で書かれた入門的な教科書などで勉強をすると良いでしょう。大気力学・海洋力学に関する英語の教科書には様々なものがありますが、「An Introduction to Dynamic Meteorology (James R. Holton and Gregory J Hakim, Elsevier academic press)」が読みやすくお勧めです。その際、独りで読み進めようとするとモチベーションを保つのが非常に大変なので、気象・気候に興味を持っている友人達と輪読形式で読み進めるのがお勧めです。

実践気候データ解析

An Introduction to Dynamic Meteorology
興味の対象や、進路を明確にしなければいけない時期です。各々の研究室によって研究内容も大きく異なりますし、先生の指導方針や研究室の雰囲気も様々です。積極的に研究室訪問を行い、自分に合った研究室を探してください。
なお、中村教授がリーダーを務める中緯度大気海洋相互作用に関する研究プロジェクト「気候系のhot spot」のホームページには、気象・気候に関するトピックが分かりやすく解説されているほか、プロジェクトに参加する大学院生や若手研究者の体験記などが掲載されています。
さらに、中村研究室のホームページも気象・気候に関するトピックが複数掲載されています。
気象や海洋の専門用語については、「現代用語の基礎知識」(自由国民社)にまとめられ、社会で話題になった用語は毎年更新されます。中村教授も執筆に加わっています。